川越市在住の妖怪画アーティスト・YOHAKUさんがコロナ終息を願って制作した悪疫退散のふすま絵「救済」が現在、最明寺(川越市小ヶ谷町)で展示されている。今年世界を襲ったコロナウィルスで混迷した社会を仏教の世界観になぞらえて描いたという。
川越の妖怪画アーティスト・YOHAKUさんが描いた悪疫退散のふすま絵
絵の中には、いがみ合う人々やマスクを求めてさまよう鬼の姿と、光の中からお地蔵様が助けに来る様子が描かれている。混沌(こんとん)とした地獄のような現在の人々の内面と、その先にある救済を表現したという。「来年はきっとコロナから世界は立ち直れる」という思いと願いを込めた。
YOHAKUさんは「マスクをしていないことをとがめたり、他県ナンバーの車を傷つけたり、人々の言動はウイルスに対してではなく自分のルールを強制させるようなものが多くなっていると感じた。コロナ自体の脅威よりも人々のいがみ合いによる精神的な消費の方が大きいのでは」と話す。「今一度自分たち自身に目を向け、手を取り合い助け合えば必ず救いがあると信じている」とも。「このふすま絵を通して、コロナ禍においてコロナ以上の脅威に目を向ける人が増えてくれたら」と、人々の精神的な安定とコロナの終息への思いを話す。
制作期間は、下絵から完成まで約2カ月。ふすまへの絵入れは1~2週間ほどで仕上げたという。「センシティブな題材だったので、他の全ての作業を中断して今回の制作に集中した」というYOHAKUさん。自身もコロナウイルスによる現状に対して向き合う良いきっかけになったという。
ふすま絵の公開時間は9時~16時。12月30日まで。来年以降は最明寺内のふすまに戻される。