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川越で「寺子屋」が復活 困窮世帯の子ども向けに学習塾

寺子屋の様子

寺子屋の様子

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 最明寺(川越市小ヶ谷町)と本応寺(川越市石原町)で生活困窮家庭の子ども向けに「寺子屋」が復活した。

川越で「寺子屋」復活

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 主催は「川越子ども応援パントリー」。対象となるのは、「児童扶養手当受給」「ひとり親家庭等医療費受給」「生活保護受給」など、金銭的な理由で学習塾に通う機会が少ない困窮家庭の小学生と中学生。同団体は、かねて最明寺と本応寺で困窮世帯に向けたフードパントリーを開催しているが、コロナ禍で学校の授業が遅れ、学習塾に通う子どもとの間で教育格差が広がりつつある現状を少しでも変えるために発起。誰に対しても普遍的に学びの機会を保障するべく、かつて地域に根差していた寺院での学習の場「寺子屋」が復活した。

 現役の学生やプロの講師、退職教員をボランティアとして講師に迎え、単に勉強を教える塾としての役割だけでなく、多くの大人と世代を超えて交流することができる。休憩時間やおやつの時間も用意し、課題が終わると一緒に遊ぶことも。家に一人で居ることの多い子どもにとって、心の安定の場を提供し、通うことの楽しさと学ぶことの面白さに気づいてもらいたいとの思いがある。

 ボランティア講師の早稲田大学法学部2年の島崎勇介さんは「母の友人から寺子屋のことを聞き、塾講師の経験を生かしたいと参加した。貧困が理由で子どもたちの可能性が狭まるのは残念だし、それを防ぎたい」と話す。「お寺は学習塾とも雰囲気が違い、アットホームで居心地が良い。これからも身近な場所として、お寺という存在が根付いてほしい」とも。

 同じく、ボランティア講師の元プロ講師の男性は「自分も一人親家庭で育った。家庭環境を理由に学問を諦めてほしくない。同じような境遇の子どもたちのために何かできないかと考え参加した」とボランティア参加のきっかけを話す。「普通の学習塾では集中できない子もいるが、ここだと皆、集中して勉強している。寺子屋と学習支援の雰囲気は合うのかもしれない」と、プロ講師の経験から寺子屋の魅力を分析する。

 大学受験を控えたボランティア講師の女性は「自分も受験生なので、同じ受験生の中学3年生から刺激をもらえる」と、ボランティア活動を自らのモチベーションに換えている。「生徒と一対一で個別に教えることができるので、苦手な部分を重点的にサポートできる」と、子どもたちへの学習指導についても熱意を語る。

 最明寺副住職の千田明寛さんは「お寺は、葬送儀礼の場として入りにくい雰囲気があるかもしれないが、お寺ならではのアットホームな雰囲気もある。学習機会がなく困っている方は、ぜひ、怖がらずに足を踏み入れてみてほしい」と呼び掛ける。「ウィズコロナの時代へ向け、寺院の本来の姿である『地域のハブ』として、人と人をつなぐ役割を復活させたい」とも。

 開催場所は、月曜=最明寺、木曜=本応寺。開催時間は、小学生の部=17時~18時30分、中学生の部=19時~20時30分。コロナウイルス感染症対策として消毒の徹底、仕切りの設置、十分な換気など注意を払って運営している。

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