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川越の筆記具メーカー「壽」、世界初の抗ウイルス銅製ペン「Cure29」発売

抗ウイルス銅製ペン「Cure29」

抗ウイルス銅製ペン「Cure29」

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 創業から50年以上続く川越の筆記具メーカー「壽(ことぶき)」(川越市鯨井)が10月15日、変色を抑えた世界初の抗ウイルス銅製ボールペン「Cure29」を発売した。

(左から)企画部の志村空良さん、笹原康司常務、設計課の若山武史さん

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 ボールペンには、抗ウイルス効果が高く変色しにくいという特徴を併せ持つ、三菱マテリアルの除菌性耐変色銅合金「クリーンブライト」を使用。付着してから20分足らずでウイルスが不活性化し、10円玉のような変色が無いという。抗菌・抗ウイルス効果が認められた銅製品に与えられる「Cu STAR」マーク認定商品。商品名は、銅の元素記号「Cu」と、病気を治すという意味の「Cure」、銅の原子番号「29」から付けた。

 ニーズに合わせて企画から製造までを一貫して行う同社は、国内外の大手文具メーカーの商品を扱う。そのため、日本のシャープペンシル生産の約半分のシェアを持ちながら、これまでその社名が表に出ることがなかった。

 新型コロナウイルスが蔓延する中、医療現場やホテルなど不特定多数の人がペンを利用する場で抗ウイルスボールペンの需要が高いと考えた同社は3月、新製品の開発に取り掛かる。「通常の受注生産は、企画から販売まで約1年から1年半掛かるが、それでは必要とされる現場に届くのが遅くなってしまう。そこで初めて『壽ブランド』として販売することを決めた」と常務の笹原康司さんは言う。その決断が、開発着手から7カ月後の発売を可能にした。

 抗菌ボールペンをうたう製品は多いが、きちんとした効果を証明したものが無く、同社がテストをしても効かないものが多かったという。「本当に効くものを作りたい」という信念の下、素材から見直し、多くの医療機関で実績のあった「クリーンブライト」を採用。ただ、ペンのような小さなものへの使用は過去に例がなく、開発はゼロからのスタートとなった。初めて扱う素材となる銅を板状から筒状に加工できる業者を探し、金属加工で知られる新潟県燕三条にある業者で試行錯誤の末、ペン軸の生産に成功。コロナ禍で新潟との行き来が難しかったため、立ち会いは生産時のみとし、他は全てリモートでのやり取りとなった。そうした数々の困難を乗り越え、今月の発売にこぎ着けた。

 「川越は都心から近く、自然災害が起きにくいのが魅力。海外の取引先が来日することも多いので、蔵造りの街並みを案内すると、とても喜ばれる」と笹原さんは言う。「地元の企業が川越から世界へと活躍の場を広げることで、川越の活性化にもつながれば」とも。

 価格は1,100円。全国の小売店のほか、アマゾンでも扱う。

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