川越市が7月1日、リユース事業を展開するマーケットエンタープライズ(東京都中央区)と連携して「楽器寄付ふるさと納税」の受け付けを始めた。
同制度は、使われなくなった「休眠楽器」を寄付してもらい、楽器の査定価格分が同市へのふるさと納税となる仕組み。多くの学校で、部活動などで使う楽器の老朽化や慢性的な不足が問題となっており、同制度は全国に広がりつつある。寄付された休眠楽器は自治体を通じて教育機関や音楽団体などへ届けられる。通常のふるさと納税制度とは異なり、「返礼品」と呼ばれるものはなく、児童・生徒たちからの感謝の手紙や演奏会への招待状などが届く。
同社はこの制度の実行委員会に所属。同社社長の小林泰士さんが川越出身ということもあり、川越市に声を掛けたことで実現。「リユース活動促進による循環型社会の形成を目指したい」という互いのニーズが一致したことも決め手になったという。
小林さんは「楽器が不足し不便な思いをしている子どもたちがいる一方で、昔使っていたが住宅環境などの変化により使わないまま自宅に眠る休眠楽器も少なくない。使っていない楽器を寄附するというだけではなく、寄付者の方が楽器に対して抱いてきた思いも一緒に次の世代へ引き継ぐことができることに意義がある」と話す。「不要になったものを捨てるのではなく、リユースという新たな選択肢を加えてもらうことで、まだまだ楽器が活躍できる場が多くある。使っていない楽器がある方は、この取り組みの活用を検討いただければ」と呼びかける。
同制度ホームページの川越市の寄付募集から楽器査定の申し込みが可能。楽器の査定は同社が行い寄付額を確定。その後、楽器を送る。