ライブハウス「鶴ヶ島ハレ」(鶴ヶ島市五味ヶ谷)が2020年8月に始めたキッチンカーでの移動販売が、新たな販売拠点として2月19日、ショッピングモールでの営業を始めた。
ショッピングモールへの出店について、副店長の今めぐみさんは「素人が何の知識もなくキッチンカー営業を始めたので、他店はどのように営業しているのか情報集めをしたり、出店場所をリサーチしたり、場所によってどんなメニューなら受け容れられるのかを研究したりするなど試行錯誤しながら営業している」と話す。
「当店の料理のコンセプトとしては居酒屋さんで楽しめるようなお酒に合う沖縄料理というよりも、沖縄の家庭や定食屋さんで食べられるような素朴な普段の味を目指している。今年に入ってから沖縄限定焙煎(ばいせん)のコーヒーを卸してもらえることになり、より沖縄を身近に感じていただけるよう、またおうち時間もお楽しみいただけるように研究している」とも。
同ライブハウスは地元で純粋に音楽を楽しんでいる人、音楽を志す人、高校・大学等の音楽サークル、プロミュージシャンなど、さまざまな人がそれぞれの用途で利用できる「郊外店ならでは」の施設になっているという。
一方で「ライブハウスは音楽施設の中でも特に閉鎖的な場所であると認識している」と話す今さん。ライブハウスには音楽好きの方や音楽をやっている人は多く集い、そうしたコミュニティーの絆は深いが、一般の方たちの耳に届きづらいという側面があるという。
そのため同店では「よりたくさんの方々に鶴ヶ島ハレで行われている音楽を知ってほしい」と、地域のお祭りなどでも同店のメニューで屋台出店するとともに、野外ステージなどでも演奏の機会を得て、地域に溶け込めるような取り組みを数年間続けてきた。
しかし新型コロナ感染症の拡大により、「人が集まってはいけない」「外出させるようなことも店としては極力控えたい」と考え、今後どうすべきかを改めて考えることになった。多くの音楽スポットがオンラインライブ配信にシフトしていく中、元々ライブハウスで何をやりたかったのかを考えた時に「やはりそこに人ありき」という店長の考え方もあり、「店に来ていただくのではなく、こちらから出向こう」という発想でキッチンカーの導入に至った。
キッチンカーでの移動販売を始めたのが夏だったこともあり、店の敷地内にビアガーデン風にテーブルと椅子を置き、そこで購入した料理を食べるスタイルからスタートした。同店ではキッチンカー導入前の4月ごろから沖縄料理のテークアウト販売を行っていたため、導入後も「ちょい飲みスペース」を設けての営業とテークアウトという形での営業が中心となった。しかし移動販売までは至らず、出店先を探しながら過ごしていたが、2020年末に出店先が決まり、ついに実際に移動しての販売がスタートした。
出店のない日は同店敷地内で営業している。冬は「ちょい飲みスペース」は休業しているものの、「沖縄そばを食べたい」と利用者から希望があり、「立ち食い沖縄そば&ドライブイン沖縄そば」を始めた。現在、車での来店客にはオーダー後、車で待ってもらい、できたてを車内で食べてもらうという試みを行っている。
現在はライブハウスの運営ができる日もあり、換気設備を整えたうえで、ガイドラインに沿ってイベントを運営している。その中で、大きな団体は店内の収容人数オーバーになってしまうという問題が発生し、「どんな工夫ができるだろう」と、今ある設備やスタッフで実現できることを考え、キッチンカーを巻き込んでのイベント開催を実践した。
ガイドラインの関係で、イベントで店内に入場する人は名前・連絡先を控えておかなければならない。店内で守ってほしい事項を伝えなくてはいけない関係で「誓約書」という書類を書いてもらっているため、入場に長い時間を要していた。改善策として、キッチンカーの置いてあるエリアを「青空エリア」と呼び、外で受け付け・検温・書類記入を行い、そこがそのまま店内に入りきれない来場客の待機場所になっている。店内の様子はユーチューブで配信し、待機中の人や会場に来られない人も自身の端末でオンライン参加できるようにしている。青空エリアは飲食スペースにもなっており、店内とキッチンカーを連動しての営業を行っている。
今さんは「飲食と音楽がセットで楽しめるような日が来ることを願いつつ、キッチンカーと野外ライブの組み合わせでも挑戦できる日が来るまで頑張っていきたい」と決意を話す。
営業場所・時間の最新情報はツイッター「@ TakeoutHalle」で確認できる。