全国各地の寺社仏 閣、古墳、砂丘、洞窟などをバックに和装の踊り手らがフラメンコを披露する動画「日本に恋した、フラメンコ」が1月31日、公開された。川越は時の鐘が舞台になっている。
高齢化と人口減少に悩む日本フラメンコ界、過疎化が進む地方を融合させ活性化することを目的に動画は作られた。ダンサーの永田健さんが全国の踊り手に呼び掛け、79のダンス教室、0歳から80代まで770人が出演している。県内では、宇佐美八千代フラメンコ教室、アルテフラメンコ舞踊学院から20人が参加した。川越の撮影を皮切りに撮影は約1年をかけた。
永田さんは2年間、スペインのマドリードに留学。2013年に日本フラメンコ協会新人公演で奨励賞を受賞している。
永田さんは、撮影場所の許可、悪天候での撮影、日本全国の移動、Wi-Fi環境の確保など、苦労したこともあるという。資金はクラウドファンディングでも募った。永田さんは「日本各地の素晴らしい風景との出合い、驚きの連続だった。広島や岩手では被災地でも撮影。2000年以上の歴史を持つ日本の奥深さ、自然の美しさ、苦難から立ち上がる力強さを肌で感じた。世界でも日本ほど歴史、美しさと多様性に富む国も珍しいと思う。日本人は謙虚かつ海外志向(憧れ)が強いが、もっと自国の文化を世界に誇り、アピールしてもいいのでは」と話す。
「フラメンコ=スペインの踊りのまね、背中を追い続けている自分にどこか劣等感を抱えていたが、今は、日本人のアイデンティティーをより強く感じる。フラメンコも、和洋折衷の新たな文化として日本発で発信・発展させていくプロジェクトにしたい。今回の撮影で、日本人の深くに根を張る文化の強さを感じた」とも。「美しい日本の風景・歴史・文化と、フラメンコの情熱を融合した映像を楽しんでほしい」と呼び掛ける。
動画は20分。