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ひとり出版社「仙波書房」が開業 初の書籍は「川越の建物 近代建築編」

ひとり出版社「仙波書房」初の書籍「川越の建物 近代建築編」イメージ

ひとり出版社「仙波書房」初の書籍「川越の建物 近代建築編」イメージ

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 「ひとり出版社」こと「仙波書房」(狭山市狭山台2)が開業して2カ月がたった。同社では、企画から取材、編集、組版、営業、管理業務まで出版に関わる全業務を代表の神谷利一さんが一人でこなす。

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 社名は、神谷さんが川越の仙波町に30年近く住んでいたことから「仙波」の名を取り命名した。川越の近代建築を紹介する書籍「川越の建物 近代建築編」の4月下旬の出版に向けて、現在は、その準備に追われているという。

 神谷さんは大学卒業後、郵便局、管理部門である郵政局などで勤務を重ね、当時の小泉政権による郵政民営化を機に公務員を辞め、民間へ転職。その後、出版社勤務を15年経て、独立する運びとなった。

 神谷さんは趣味で模型も作っている。プラモデルだけではなく、ゼロから作品を作り上げることもあるという。作品の中には川越の建物も存在。数年前に耐震改修工事が行われた「時の鐘」は、外壁交換前の「時の鐘」を残しておきたいと考え、手のひらサイズで制作することにした。この作品を契機に、蓮馨寺前にあるプラモデル店「おびつ玩具店第二売場」、現在営業している中では県内最古の映画館「川越スカラ座」などを制作しているという。

 本作りに当たり、撮影と取材で現地への訪問を繰り返し、小さな模型作品でも建物をリアルに見せ、建物の魅力をよりうまく伝えられるようにと、作品には工夫を盛り込んでいる。「時の鐘」「おびつ玩具店第二売場」「川越スカラ座」の3作品は、箱根にある「ドールハウス美術館」の企画展示のコーナーで半年間、展示されることになった。

 模型作品にした「おびつ玩具店第二売場」は木造建築で、建物正面をモルタルで覆った看板建築。看板建築や洋風な造りの建物は「近代建築」と呼ばれている。神谷さんはこれまで趣味の情景模型を介して建物の魅力を伝えてきたが、今度は書籍を介して建物の魅力を伝えるため、同社で準備を始めた。

 書籍化第1弾「川越の建物 近代建築編」は、川越市内にある近代建築21カ所をイラストと写真で紹介する。

 川越を舞台にしたアニメーション作品「月がきれい」の映像美に感動した神谷さんが制作会社に相談したところから、書籍化の企画が進んだ。相談先のアニメーション制作会社「feel.(フィール)」の協力もあり、長年アニメーション作品の背景を担当してきた背景制作会社「プロダクション アイ」によるイラストを準備することが可能になった。

 「アニメーション制作会社によるイラストは幅広い層へ建物の魅力を伝えるための工夫」だという。「川越市内の近代建築を知り、まち歩きをさらに楽しんでもらえれば」と神谷さんは語る。

 同書は5月31日発行。市内の書店で現在、予約を受け付けている。

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