川越でドローン事業を手掛けるジュンテクノサービス(川越市豊田町3)が3月12日、水中ドローンを使った水路調査で191メートルの潜航を達成し、インフラ損傷箇所の究明に成果を上げた。同社社長の引野潤さんは「水中ドローン使用で、水中100メートル以上の点検実証は恐らく国内初」と話す。
使ったのは360度全方位稼働が可能なQYSEA社の水中ドローン「FIFISH V6」。今回の流域下水道の管渠(かんきょ)調査は同社が先月始めた「水中ドローン・カメラ」活用事業で、インフラ施設の点検・調査を行うヒューテック(長野県)の協力で実施。濁水の湧き上がりが発見された道路付近において、当初は水中ロボットを用いたテレビカメラ調査で対応したが、20センチほどの段差を乗り超えるのが難しく一時断念。100メートルを超える領域への水中ドローンの潜航に踏み切り、配管の損傷部分を撮影できたという。
空撮を行う飛行型ドローンに比べ、水中ドローンはまだまだ認知が低い。「水中ドローンはきれいな映像を撮影するだけのものではない」と引野さん。同社では、河川付近に設置されている大型くみ上げポンプの点検や、船底点検、定置網付近の海底調査などの実績があり、「ダム・発電所・プラント・船・漁礁・養殖・湖・橋脚・護岸など、淡水海水にかかわらずさまざまな箇所で活躍できる」という。「水中ドローンを使うことで潜水士などの労働災害を減らすことができ、インフラの老朽化対策など、さまざまな水中調査や点検に使える。今後も水中ドローン活用の可能性を広めていきたい」と意気込む。
同社では調査業務のほか、水中ドローン専門ショップ「ドローンテクニカルファクトリー川越」も経営。販売機種のサポートメンテナンスを行う「QYSEA公認FIFISH日本修理サポートセンター」、ドローン操縦士の養成スクール事業も行う。川越市公式動画「川越市チャンネル」では、同社がドローンで空撮した「桜祭り」「旧山崎家別邸」の映像を配信するほか、最明寺の祭典の空撮なども行い、川越観光PRの一翼を担っている。