川越の乾物屋「武州川越轟(とどろき)屋」と地元醤油蔵の松本醤油(しょうゆ)商店が共同で開発した「川越中華そば」が発売から半年を迎えた。
川越中華そばはタイ、サンマ、イワシ、イカ、昆布、シイタケなど15種類の煮干しから取れただしを使っている。中でもだしに使われているブリ節はこの中華そばの開発のためだけに作られたもの。「だしは全ての和食のベースになるもの。顆粒(かりゅう)だししか口にしたことがない若い人たちが多いので、何とかしてだしに触れてもらうきっかけづくりになればと思い商品の開発に踏み切った」と轟屋番頭の小嶋洋司さんは話す。
同商品はお土産用のパック商品だが、同市内のラーメン店「麺屋 ひな多」(川越市連雀町8)では作りたての川越中華そばを提供する。価格は1杯750円。同店では川越中華そばをメニュー化するにあたって2カ月の開発期間を要したという。「お土産用の商品は誰が作ってもおいしいのが売りだが、ラーメン店として妥協したくなかった。同じ味のものを提供するのではなく、素材の味を100%生かしたおいしい中華そばを提供したかった」と喜多隆行店長は開発期間を振り返る。「とにかく味を濃くしてうま味を強調するのが外食産業の基本だが、川越中華そばは香りと風味で勝負をしている。繊細な味わいを楽しんでいただきたい」とも。同店の川越中華そばは季節によってだしに使う煮干しの材料の収穫量が異なるため、その時々で微妙に異なる風味を味わうことができる。
「轟屋のだしは地元の幼稚園、保育園の給食でも使われている。体に優しく健康にも良いので、ぜひ若い人たちにもだしの良さを伝えたい。まずは週末だけ煮干しからだしを取ってみるというだけでもいいので、ぜひ自分でだしを取るという経験を若い世代の皆さんにもしてもらいたい。今後も日本人独特の繊細な味覚を守るために、だしの良さを世の中に伝えるために尽力したい」と小嶋さん。
川越中華そばは1箱2食入り1,188円。武州川越轟屋の営業時間は9時~18時(水曜定休)。麺屋ひな多の営業時間は11時30分~14時30分、17時30分~21時(水曜定休)。