川越市内外の茶農家、紅茶専門店、喫茶店、菓子店などが出店する「川越紅茶フェスティバル」が12月9日、蓮馨寺境内(川越市連雀町)で初開催され、大勢の人でにぎわった。
穏やかに晴れて気温の上がった土曜日、家族連れや愛犬を連れた多くの紅茶ファンが蓮馨寺を訪れた。にぎわう様子を見て会場に立ち寄る観光客や参拝客の姿なども見られた。主催する紅茶専門店「川越紅茶館coeur a coeur(クーラクー)」店主の吉田幸果さんは「どのくらいの人が来てくれるのか不安でいっぱいだったが、当日は予想を大きく超える1300人が来場した。12店と少ない出店数にもかかわらず、このイベントのために石川や愛知から来てくれた人もいて驚いた」と振り返る。「紅茶フェスをやりたいと一人で動き出したが、チラシデザインの『しまのいよ』さんをはじめ、出店者や友人たちなど多くの人が手を貸してくれた。仲間がいたからこそ無事に終えることができた。感謝でいっぱい」とも。
各店の前には開始と同時に長い列ができた。茶を使った「抹茶ホワイトチョコブラウニー、ほうじ茶ホワイトチョコブラウニー」など、さまざまな焼き菓子を販売した「The curious bake shop ZUNE」は開始1時間で全ての商品が、「紅玉リンゴのタルト、紅茶のシフォンケーキ」などを販売した「やき菓子 野里」も早々に一部の商品が、それぞれ売り切れた。「川越紅茶館coeur a coeur」も昼ごろには長時間煮出したロイヤルミルクティーとスコーンが売り切れ、吉田さんは近くに構える店舗に補充に走った。茶を扱う「小野文製茶、やまとう栗原園、狭山工業高校、AOBA Tea Dealer and Retailer」は、それぞれ試飲を用意し、来場者は味を確かめながら気に入った茶葉を買い求めた。
出店者からは「今までさまざまなイベントに出店したが、こんなにお客さんが来て買ってくれたのは初めて。出店して良かった。また出たい」という声が聞かれた。中には「お客さんと直接話すことができ、商品について意見をもらえる貴重な機会になった」と話す茶農家も。参加した全店が、ほぼ完売で終えたという。
講堂ではテーブルデザイナー協会による「テーブルデザイナー展」も行い、木綿の織物「川越唐桟(とうざん)」を使ったクリスマス用のテーブルを展示。会場で実施した紙ナプキンを使った折り方講座には、女性を中心に大勢の人が参加した。プロのコーディネーターがデザインした6つのテーブルそれぞれに文字を書いた紙を貼り、全てをつなげたキーワードと購入店のスタンプで景品が進呈されるキャンペーンも人気を集めた。
吉田さんは「各店の在庫が不足し、開始1時間で完売する店が続出する、長蛇の列ができてしまうなど、課題も見つかった。次回は5月中旬の開催を予定しているので、会場のレイアウトや運営を改善したい。紅茶を扱う農家と販売者、紅茶ファンをもっともっとつなげて、川越を紅茶の街にしたい」と意欲を見せる。