セレクトショップ「せをはやみ」が7月7日、川越市南通町にオープンした。取り扱いブランドは全て埼玉県で初めて店頭に並ぶものばかりだという。
店主の田中典生さんはアパレル業界で働いた後、繊維メーカーに転職。当時は生地や縫製の工場との付き合いが多く、日本には高度な技術があることを知りながらも、日本で売られている多くの服は海外の素材や工場で作られていることに疑問を感じていたという。
その頃から、「日本の素晴らしいもの作りを広めたい」という気持ちと、使い捨てのような感覚で消費されていく洋服に対する概念の転換を広めるためにも、いつか自分の店を持ちたいと考えていた。出店は、9年ほど前に構想を練り始め、5年ほど前から具体的な準備を重ね、埼玉県のビジネスプランコンテストに出場するなど、出店に向けて動いてきた。
取り扱うブランドは、「bedsidedrama」「Dulcamara」「Macromauro」「Neyvor」「Sneeuw」「Stof」「Tomo&co」「Yantor」「Y.M.Walts」など。ユニセックスの商品を中心に取りそろえる。田中さんが「もの作りの姿勢やこだわりを理解し、納得できるブランド」を「厳選」しているという。
店名は百人一首77番の崇徳(すとく)天皇の歌から取った。「恋の歌として有名だが、川が岩にぶつかって流れが別れるも、いつかは一緒になるという内容で『再会』がテーマとも読める」と田中さん。自身も洋服が好きでアパレル業界に戻ってきた経緯や、かつて生地などの素材を買ってもらっていた有名デザイナーのアシスタントが独立し、自身のブランドを立ち上げるなどのタイミングで再会後一緒に仕事をするなど、一度道は別れても、ゆくゆくは一緒に良い関係を築いていくという実体験から来る思いを込める。
「洋服は長く使うもの。知り合いではなく、親友になってもらい、手放すときにもリサイクルなどの最善の手段を取ってほしい」と田中さん。「誰かの犠牲の上に成り立つおしゃれはおしゃれではない。適正価格で販売する努力をしていきたい」とも。
「お客さまに愛されたいという強い思いのあるブランドを厳選している。素材や製法なども詳しく説明できるし、どうしてこの値段なのかも細かく説明することもできる」と、取り扱い商品への自信を見せる。「セレクトショップと聞くと入りづらいかもしれないが、自分がスポーツやお笑いなどの話をするのが好きなので、ただ話に来てくれるだけでも歓迎。気軽に遊びに来てもらえれば」と呼びかける。
秋冬コレクションからは取り扱いブランドも増やす予定。「いずれは埼玉の伝統産業ともコラボしていきたい」と、今後の展開についても意気込みを見せる。
営業時間は 12時~20時。水曜定休。