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三芳町で「世界農業遺産」認定のための現地調査 「落ち葉堆肥農法」説明

FAO世界農業遺産科学助言グループの李委員らとの集合写真

FAO世界農業遺産科学助言グループの李委員らとの集合写真

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 三芳町で6月22日、「世界農業遺産」認定に向けた国連食糧農業機関(FAO)委員による現地調査が行われた。

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 世界農業遺産とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり発達し、形作られてできた農業上の土地利用、伝統的な農業と、それに関わって育まれた文化、景観、生物多様性に富んだ、世界的に重要な地域を次世代へ継承することを目的に、FAOが2002(平成14)年に始めたプログラム。

 武蔵野台地に位置する同町はじめ川越市、所沢市、ふじみ野市は元々、火山灰土に厚く覆われた作物が育ちにくい土地だったという。

 武蔵野地域では、江戸時代から多くの木を植え、平地林(=ヤマ)として育て、木々の落ち葉を掃き集めて堆肥にして畑に入れ、土壌を改良してきた。360年以上にわたり続けられてきたこの伝統農法を「落ち葉堆肥農法」と呼ぶ。同農法は今も受け継がれおり、平地林が各市町全域にその面影を多く残し、育成・管理されて景観や生物の多様性を育むシステムがつくられている。

 2016(平成28)年8月、3市1町と、いるま野農業協同組合、埼玉県川越農林振興センターの広域連携で、世界農業遺産・日本農業遺産を目指すための「武蔵野の落ち葉堆肥農法世界農業遺産推進協議会」が発足した

 2017(平成29)年3月に「日本農業遺産」に認定された同地域。2021年10月、同地域はFAOに世界農業遺産の認定申請を行った。

 林伊佐雄三芳町長、川合善明川越市長、高畑博ふじみ野市長、埼玉県川越農林振興センターの長谷川征慶所長らが6月22日、三芳町役場で中国から来日したFAO委員を出迎えた。

 同町役場内で同地域の農業システムの概要を説明した後、同委員は旧島田家住宅(三芳町上富)で実践農業者から取り組みの説明を受けたり、町立上富小学校(上富)の屋上から農法が生み出す「ランドスケープ」の説明を受けたりした。

 今回の現地調査の結果を踏まえて、FAOの世界農業遺産科学助言グループで認定の可否が審査される。

 同町ふるさと大使のタオンさんは「世界農業遺産には日本で13の地域が認定されている。埼玉県武蔵野地域が国内14番目として認定されたら最高にうれしい」と話す。

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