川越市市制施行100周年事業の一環で、物理学者・梶田隆章さんによる講演会が2月19日、ウェスタ川越(川越市新宿町1)で開催された。主催は川越市市制施行100周年会議。
1922(大正11)年12月1日、川越は県内で初めてとなる市制を施行し「川越市」が誕生した。今では「小江戸」として多くの人に親しまれる川越市が2022年、市制施行100周年を迎え記念事業を行っている。
梶田隆章さんは物理学者で、東京大学教授・宇宙線研究所長。移動中に粒の種類が変わる現象「ニュートリノ振動」を観測してニュートリノに質量があることを発見し、2015(平成27)年にノーベル物理学賞を受賞した。埼玉県立川越高等学校卒業。今回は「自然を不思議と思う心~次の100年を担う川越の若者たちへ~」と題し、梶田さんの講演会を開いた。梶田さんは「過去100年間の科学、特に物理学の発展を振り返り、今後予想される発展を考えていきたい」「科学の進歩によって我々は恩恵を受けているが、気温上昇やプラスチックゴミの海への蓄積など問題も生み出した。(これらの問題は)科学者が、多くの人と共に解決しなければならない課題」と述べた。若者たちへ「物理が分からなくても、私たちの生活は苦しくならない。でもこれらを不思議と思う心を持ち続けてほしい。科学技術による今後の社会と地球のことを考え、そして川越の未来を担うことを期待したい」と述べた。
講演会では参加者の質問にも答えた。「高校にいるうちに将来のために具体的な勉強をした方が良いか」を質問した市内の高校に通う生徒は、講演終了後、「(梶田さんは)高校の間は選択を狭めない方がいい。視野を狭めずに、いろいろな事を学んで経験して、(それから)自分のやりたいことを学べばいいと言われ、前が開けたような気がした」と話していた。
川越市市制施行100周年会議では、今後も講演会を予定している。次回は4月16日、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソンさんの講演会をウェスタ川越で開催予定。