川越の和菓子店「川越菓匠くらづくり本舗」(川越市久保町5)が4月26日、上生菓子の「アマビエ上生菓子」(280円)の販売を始めた。
同店は1887(明治20)年創業の、川越を中心に県内に多くの店舗を持つ老舗。最中「福蔵」や芋菓子「べにあかくん」などで知られている。
広報担当の中野友紀子さんは、今回の商品開発について、「新型コロナウイルスが感染拡大する中、何か明るくなる話題はないかと探していたところ、疫病がはやったら『アマビエ』を写して人に見せなさい、という江戸時代の妖怪にまつわる言い伝えを知り、当店でも作ってみることにした」と話す。
和菓子職人の工場長・紺野浩康さんがデザイン、手作りしたアマビエは、淡いパステルグリーンと薄紅色・花紅色の練り切りあんで小豆皮むきあんを包み、手形で一つ一つ作り上げている。上生菓子は日持ちがしない上に量産もできないため、当初、販売するつもりはなかったという。完成したアマビエの写真を「離れて暮らす大切な人に、もしよかったら疫病退散のアマビエの画像を送って見せて」とSNSに投稿。「手作りの和菓子ができるまでを見て楽しんでほしい」との思いから動画もアップした。
その後、同店のアマビエはまたたく間にSNSで広がり、「多くのコメント、いいねやシェア・リツィートを頂くとともに、メールや電話などでの問い合わせがあり、とても驚いた」という。「家族とアマビエの上生菓子を食べたい」「ぜひ商品化してほしい」との声を受けて社内で協議し、「やはり皆さまに喜んでいただけるなら」と少しずつでも販売することに。一部店舗での販売とし、他店舗は予約受注販売となっている。
5日より疫病退散「アマビエ」ポストカードを、数量限定で各営業店舗で配布も始めた。「気分がめいるニュースばかりの毎日だが、少しでも皆さんに笑顔になっていただけたら」と中野さん。
アマビエ上生菓子の取扱店はホームページで確認できる。販売店舗以外の営業店舗は事前予約、店頭引渡し。