外務省が推進する対日理解促進交流プログラム「JENESYS2019」として1月23日、鶴ヶ島市と城西大学(坂戸市けやき台1)にミャンマーから柔道の若手競技経験者14人が訪問し、講義や交流会、合同練習などに参加した。
ミャンマーと同市の交流の歴史は長い。1989(平成元)年に市内在住の今泉清詞さんが中心となって始めたミャンマー人学生支援制度「今泉記念ビルマ奨学会」や、「鶴ヶ島市国際交流協会」における市民からの文具寄付などを通じて親交を深めてきた。2017(平成29)年、東京オリンピック・パラリンピックにおけるミャンマーホストタウンに決定、ミャンマーからの留学生の受入れを行う城西大学やミャンマー大使館らと連携・協力しながら、事前キャンプや交流事業など、さまざまな取り組みを進めている。
ミャンマー訪日団は16~21歳の男女合わせて14人の高校・大学生。全員が柔道を学んでおり、今回が初来日だという。
一行は、午前中に市役所を訪問。市職員が「ミンガラーバー」とミャンマー語であいさつすると、訪日団長のキンメイチューさんが「こんにちは。日本の皆さんはとても親切でフレンドリー。ミャンマーにも遊びに来てほしい。柔道がもっと広がるように頑張りたい」と、勉強中だという日本語を披露。続いて市職員の説明の下、市とミャンマー交流の歴史やホストタウン事業の取り組みなどのスライドショーを鑑賞。スライド中に紹介された「鶴ヶ島水かけまつり」や、昨年行われた「ミャンマー選手団事前キャンプ」に話が及ぶと、自国の水かけ祭りの様子を発表したり、知っている選手について話したりして笑顔がこぼれた。記念品でもらった折り鶴や折り紙を興味深そうに手に取る場面も。
昼食は市民とのランチ交流会として、レストラン「Kenの厨房」(上広谷)に移動。「ミャンマーホストタウン応援店」の5人のシェフたちが考案した、ミャンマーと鶴ヶ島の地元食材を使ったコラボメニューを振る舞った。金メダルに見立て金箔(きんぱく)を使ったメニューや、滋養強壮・血行促進などアスリートの健康が考えられたメニューを食べた学生たちからは「全部おいしい。日本に来て食べたものの中で一番おいしい」「スープはミャンマーの味がする」「生まれて初めてパスタを食べた」などの感想が飛び交い、歓談に花が咲いた。「(生ものを食べる習慣がないので)刺し身やすしが出たらどうしようと心配だったが、出なくて安心した」などの声も聞かれ、笑い声が上がった。
午後には城西大学坂戸キャンパスへ移動、同大柔道部員との合同練習に臨んだ。どの学生も積極的に日本人部員とペアを組み、息を切らしながら打ち込みや乱取り練習に取り組んだ。休憩時間には、同大市川監督の指導を受けようとミャンマー学生自ら集まり「連絡変化」など、技の指南を受けた。監督からは特に、反則技についてや乱取り練習時の危険行為についての説明を丁寧に受け、全員真剣なまなざしで聞き入っていた。ミャンマー学生たちからは「最初は緊張したけど、やっているうちに楽しくなった」「もっと上手になりたい」との声が上がった。
女子学生のポーイエーサンさんは「日本はとてもきれいな国。柔道は、子どものころにテレビで見て憧れて始めた。国の代表選手になりたい」とはにかんだ。男子学生のニーニーアウンさんは「大野選手に憧れている。ミャンマーで一番強い選手になりたい」と話した。