ウェスタ川越(川越市新宿町)で9月16日、「保存と修復」をテーマにした講座「繍(ぬ)い継ぐ民俗文化-山車から被災文化財まで、染織品修復の最前線」が開かれる。
繊維は崩壊する前に適切な保存処置を行えば長く伝えることが可能。女子美術大学染織文化資源研究所では、日本刺しゅうで培った技術を基に染織品の保存修復に取り組んでいる。
講座では、女子美術大学デザイン・工芸学科 工芸専攻 特任助教の大崎綾子さんを講師に招き、染織文化財を「守り」「伝える」取り組みについて学ぶ。2011年に東日本大震災の大津波で被災した陸前高田市立博物館所蔵の着物や民俗資料の修理についても触れるという。
大崎さんは女子美術大学大学院で刺しゅうを修了、筑波大学大学院博士課程後期修了、芸術学博士。非常勤講師を経て現職に就く。染織研究、特に日本刺しゅうに関わる分野が専門。日本刺しゅうの作品制作、技法やデザインの歴史の研究や、それらの技術や知見に基づき染織文化財の保存修復を行っている。
講座担当者は「女子美術大学は1900年の創設当初より刺しゅう科を設置し、日本の染織文化財修復に貢献している。川越のほか、赤坂氷川神社の山車飾幕など各地の修復にも当たっている。専門家の技術を知るだけでなく、民俗文化財において、いかに日頃の保管が重要な役目を果たすかに気付いてもらえれば」と話す。
開催時間は13時30分~16時。受講料は一般800円、学生無料(当日要学生証)。