障害者アートを活用し、障害のあるアーティストの就労待遇改善を目指す「川越リアートプロジェクト」が、一般社団法人「リアート」として法人化したことを6月25日、丹徳庭園(川越市六軒町1)で開いた設立会見で発表した。
障害者アート団体・川越リアートプロジェクト、「リアート」として法人化
川越リアートプロジェクトは、2023年に発足した団体。「リアート(Re Art)」は、障害者アートに市民やクリエーターの手を加えることで「再構築するアート」を意味する造語。リアート作品を用いた新商品開発やイベント催行を通じて、障害の有無などの枠組みにとらわれず、多種多様な個性を尊重する社会の実現を目指すプロジェクト。
これまでにも、小江戸鏡山酒造(仲町)が、パイナップルの香りがする酵母を使った夏限定生酒のラベルに、自閉症と重度知的障害を持つ古川舜一さんのパイナップルの作品を起用したり、川越市街のスターバックス4店舗とコラボし、水上製本所(新富町1)が障害者アーティストの杉田大河さんの作品を和紙に和とじ製本した冊子にエスプレッソで作るコーヒースタンプを押印するスタンプラリー企画を実施したりするなど、川越を中心とした企業と障害者アーティストのコラボ企画を実施してきた。
今後は、武蔵野ユニフォーム(行田市藤原町2)が、障害者アーティストの野沢めぐみさんの作品を使った足袋(たび)の販売を予定。同商品は7月にパリで開催されるジャパンエキスポでも販売される。他に、6月で9周年を迎えたアクション教室スタートランド(岸町2)が、杉田さんの作品を印刷した限定の記念ポロシャツを受注販売。くらづくり本舗(久保町)は菓子の詰め合わせセットの巾着に障害者アーティストの作品を使うなど、今後の活動の展開も併せて発表した。
商品化以外の活動として、障害者アートを街に展示して、人や空間に溶け込むアートをみんなで楽しむ「街なかアートフェス」などのイベントも企画する。同イベントのイメージとして、記者会見会場の丹徳庭園の日本庭園に障害者アートを庭園になじむように展示。庭園の緑に鮮やかな作品が並んだ。
ヴェソラウスキーさんは「障害のある人がいるのは、世界にとって『必要枠』だからなんだと感じている。障害のある人は高い創造性を持った『ギフテッド』。その才能を広め、彼ら自身や彼らの作品の価値の高さを伝えていきたい」と話す。