4月10日に仙台市で開催された「津軽三味線みちのく全国大会」で、富士見市在住の加藤佑典さんが日本一を獲得した。
同大会は、青森県民謡の普及活動を行っているNPO法人青森民謡協会が東日本大震災復興祈念大会として今年初めて開催。流派を問わず全国各地から演奏家を募集し、テープ予選を経て勝ち上がった約100人が撥(ばち)さばきを競った。
津軽三味線本来の音色を追求するためマイクは使わずに生音で演奏し、採点される。調弦、ツボ、撥づけ、リズムなど8つの審査項目に基づき8人の審査員が各項目に点数を付けて会場内に掲示。厳正かつ透明性のある審査が行われた。
加藤さんは自作のフレーズを交えた「津軽じょんがら節」を演奏。年齢や経験年数等による7部門のうちAクラスの部で優勝した。同クラスは年齢や経験年数を問わない無差別部門で、今大会の最高位部門。昨年末の予選を通過したプロとアマ19人に加え他部門の優勝者6人を加えた25人で決勝が行われた。最高得点が同点で並ぶという接戦の中、「難易度」と「曲構成」の項目が高かった加藤さんが優勝した。
加藤さんは愛知県岡崎市出身で立教大学経営学部の4年生。父親の影響で小学3年生より津軽三味線を始め、津軽三味線コンクール全国大会の小学生の部などで優勝。大学進学後はプロも出場する多くの大会で4年続けて個人最高位部門優勝を果たしている。今回で16度目の優勝になる。
「津軽三味線の本場である東北地方で開かれた全国コンクールで実力以上の賞を頂いて本当にうれしい。宮城県は亡き祖母の故郷でもあり、きっと祖母が天国から応援してくれたのだと思う。これからも師匠の教えを守り、人まねでない自分の音色に磨きをかけ、お客さまに感動していただける演奏を目指して精進していきたい」と加藤さんは話す。
現在のところ富士見市周辺での演奏の予定はなく、不定期で「民謡の店みどり」(東京都台東区浅草5)のステージに出演している。