「川越の輝く女性特集」3回目は、川越の霞ヶ関北エリアの角栄商店街を拠点とし、地域に居心地の良い場所を作る取り組みを行っている合同会社オンド・役員の荒井由佳さん。ローカルプロジェクト「38℃」でカフェの運営やイベントの企画などを手掛けるほか、多彩な海外経験を生かしながら、外国人観光客へ向けた川越の魅力発信にも力を入れる。加えて、小江戸川越観光大使のヴェソラウスキー阿里耶さんと立ち上げた「川越女子オシゴトの縁結びコミュニティ」で個性あふれる川越で活躍する女性たちの中心に立っている。
荒井さんは川越市出身。海外留学と海外旅行好きで45カ国を回った経験と、調理師の資格を生かし、外国人観光客が多く利用する「サクラホテル」グループでシェフからフロントまでの業務をこなしていた。30歳を過ぎたころから、今まであまり興味を持たなかった地元・川越に誇らしさが湧き出てきたと言う。海外経験が長く、外国人観光客をよく知ることから、今までの経験を川越で全て生かせると感じたことがきっかけとなり、都内での仕事を辞め、川越市主催の「まちづくりキャンプ」に参加して出会った仲間と合同会社を立ち上げた。
歴史的建造物が多いなど、日本的な観光地としてポテンシャルの高い川越だが、外国人向け観光ガイドブックとして有名な「ロンリープラネット」には掲載されていないという。「つまり、多くの外国人が知る由もないということ」と現状を嘆いたという荒井さん。海外経験が豊富な荒井さんの視点から、川越は「外国人目線で見ると改善点が多い」と感じたという。例えば、商品の値段や説明が英語で表記されていないなど、観光のしづらさが目立った。「自分の目の黒いうちに、ロンリープラネットに川越が大きく掲載されるようにしたい。外国人観光客の行き先として2番目、3番目には名前が挙がるようにしたい。そのためには、外国人観光客も観光しやすい環境づくりが重要」と熱い思いを語る。
川越で頑張っている女性同士が業種を超えてつながり、仕事の楽しみや幅を広げていくことを目的に立ち上げられたコミュニティー。メンバーで川越のPR動画を制作するなど、活動は川越内で面白いつながりに発展しているという。「川越の女性一人一人が持つ、個性・特技・経験・情熱をつなげてより大きな力にしてほしい。活動しやすい環境を作り、人生をもっと楽しくパワフルに生きてほしい。ひいてはそれが川越の観光や活性化につながればうれしい」と話す荒井さん。今後も新たな化学反応が生まれることに期待したい。
レゲエの神様とも呼ばれるボブ・マーリーの名言。日本語で訳すと「自分の生きる人生を愛せ、自分が愛する人生を生きろ」。多くの外国を旅し、自分の人生のルーツである川越に戻ってきた荒井さん。「川越の良さを生かしつつ、地元の人たちのケアもしつつ、外国人観光客と観光業の間に自分が立ちたい」と話す。「川越を世界的な観光地にする」という目標に向かって今後も活動していくという。