蚕糸絹文化を次代に伝えるために秩父神社、高麗(こま)神社、川越氷川神社が共同で発足した研究会さいたま絹文化研究会が2月28日、川越氷川会館(川越市宮下町2)で「さいたま絹文化フォーラム」を開催する。
埼玉県は古くより養蚕が栄え、秩父神社の秩父夜祭は「お蚕祭り」とも呼ばれ多くの絹買継商が夜祭りを見物がてら絹市に来たという由来がある。高麗神社は奈良時代に高句麗(こうくり)からの渡来人が絹織物の技術をもたらしたといわれており、高麗宮司は高句麗からの王族の一族の末裔(まつえい)でもある。川越は周辺の絹織物の集散地として富を蓄積した町でもある。
同イベントでは、皇居での養蚕に関わり現在も八王子の養蚕農家の支援を行う多摩シルク21研究会の小此木エツ子さんが絹文化に関する講演を行う。会場では秩父神社の大正時代の繭の奉納額、日本郵船の豪華客船秩父丸のポスター、秩父地方の伝統的な織物である秩父銘仙、川越氷川神社の巫女(みこ)が紅花で染めた埼玉県ブランド繭の赤い絹糸のお守りなど、3神社の絹にまつわる資料が展示される。高句麗衣装や真綿の糸作りなどの体験も用意する。
同研究会会報担当でNPO法人川越きもの散歩代表の藤井美登利さんは、「日本の養蚕は絶滅寸前。養蚕農家は日本全体で400軒を切り埼玉県内では30軒に減少している。繭からの糸作りを体験することで、絹の価値や蚕を大切にしてきた文化を知っていただきたい。着物愛好家の立場としても日本の蚕糸絹文化を伝えていきたい」と話す。
13時30分受け付け開始、14時開演。参加費は500円。