提供:Rethink Creator PROJECT 制作:川越経済新聞編集部
地域の魅力を発見し、発信する人材創出を目指すプロジェクト「Rethink Creator PROJECT」の川越セミナーが9月19日、ウエスタ川越(川越市新宿町)で開催されました。
「Rethink Creator PROJECT」は「地元を誰かにまかせない」を合言葉に、日本中でクリエイターの「地産地消」を目指すプロジェクト。「学びの場」と「挑戦の場」を提供し、地域にゆかりのある人たちが、自ら地域の魅力を発見し発信するきっかけ作りを行っています。
インターネット広告の企画、制作、クリエイター育成事業を手掛ける「クリエイターズマッチ」(東京都千代田区)が主催し、JT(港区)による地域課題の解決を目指す取り組み「Rethink PROJECT」とコラボレーション。全国各地で「Rethink Creator」の創出を目指しています。
3年目を迎えた「Rethink Creator PROJECT」が埼玉県で開催されるのは今年が初めて。川越セミナーは川越市の後援を得て、2020年度の13カ所目の開催地となりました。
講師は、フリーランスでクリエイターの羽室吉隆さんと、川越市出身でコミュニケーションプランナー・PRファシリテーターの可児淳子さんが登壇しました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で会場での開催が急にできなくなっても対応できるよう、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型で開催しました。川越市はもとより、さいたま市など埼玉県の他の市町村からの申し込みがあり、当日はリアルで18人、オンラインで24人が参加しました。
会場は席を十分に離し、必要に応じて配布するマスクを用意してマスク着用を徹底。入場時には検温と手指消毒をして、感染症対策を行いました。
前半30分の「Rethink講座」では、「Rethink=視点を変えて考える」方法を羽室さんが説明。「内側を見る」INSIGHT(インサイト)、「属性を見る」FILTER(フィルター)、「印象を見る」CAPTA(カプタ)の3つの方法が紹介されました。
「インサイト」は、伝える相手をイメージして、地元を内側から見ることで魅力を再発見すること。不特定多数に川越を伝えようとすると「時の鐘」など外側から見た情報に視点が向きやすくなってしまいます。伝えたい相手をしっかり意識することで、「地元の人しか知らない名店」や「地域に根差した百貨店」など、内側の新たな魅力に視点を変えることができます。
「フィルター」は、地元や身の回りを属性ごとに注目して見ること。属性を意識せずに身の回りを見渡すと情報を得ることが難しく感じます。ところが「模様」という属性に注目して見ると、床の木目や壁の柄などに視点を向けることができるようになります。
「カプタ」は、「印象情報」を見ること。情報には、「部屋の温度は28度」のように正確な数値などのかたい「データ情報」と、「座っているとちょうど良いが、話していると暑い部屋」のように自由に感じ取ったやわらかい「カプタ情報」の2種類があります。カプタ情報を意識することで、キャッチコピーの種となる言葉を見つけることができるようになります。
3つの方法のうち、特に参加者の反響が大きかったものが「カプタ」です。「印象が心に響くことがよくわかりました」「印象を大切にすれば良いのだと知ることができました」と30代の女性達の声。日常の感じ方が魅力的に変わる体験は、後半のワークショップで存分に生かされました。
休憩を挟み、後半のワークショップへ。「地元の人にしか知られていないもの」をテーマに用意された2枚の写真へキャッチコピーを考え、ポスターを作成します。
講座で学んだ3つの方法で写真をRethink。まずは伝えたい相手を具体的にイメージします。次に写真から得られる印象を言葉にしていき、キャッチコピーを考えました。
感染症対策のため、リアルの参加者は配布された用紙に案を書き出して伝える方法で進められました。オンライン参加者はチャット機能で発言し、スタッフがモニターに書き出して会場に共有しました。
1枚目の写真は門前横丁の「ふとした路地」。「この道を使って石けりなど昔の遊びをしたい人」がターゲットになりました。
2枚目の写真は世界大会で優勝経験がある「スペイン亭のパエリア」。「埼玉県にはおいしいものがないと思っていそうな東京在住の人」向けにキャッチコピーを考えました。
リアルとオンラインそれぞれから寄せられたキャッチコピーを1つずつに絞り、最終的にどちらか1つを可児さんが決定。「選ぶのが難しいです」と頭を悩ませる可児さんに、羽室さんは「だから僕は、自分では絶対に選ぶ役をしません」と声をかけ会場の笑いを誘いました。
可児さんが選んだキャッチコピーは、縦書きか横書きかをオンライン参加者の投票で、明朝体かゴシック体かを会場の参加者に挙手してもらい決定しました。その後、羽室さんがリアルタイムで写真にレイアウトしていきます。作成の様子は画面に映し出され、羽室さんと可児さんが意見を交わしながら進められました。
「ふとした路地」のキャッチコピーは、リアル参加者の案「あそこは時の鐘 ここは時の通り」が採用されました。「川越を象徴する時の鐘にかけた表現が上手いです」と可児さん。参加者の投票の結果、縦書き、明朝体に決定。羽室さんは「あそこは時の鐘」の文字を小さく「ここは時の通り」の文字は大きくし、少し離れた場所にある時の鐘と目に映っている路地を表現。「文字の最後は、あえて少し影からはみ出させるのが好き」と自身のクリエイターとしての感性を披露しました。
「スペイン亭のパエリア」では、オンライン参加者の考えたキャッチコピー「特急小江戸でスペインへ」が選ばれました。投票の結果、1枚目とは変わって横書きのゴシック体に決定。羽室さんはキャッチコピーを「いい意味で自虐的だと思います。地元の人にしかできない表現ですね」と評価。「嘘は大声で言いましょう」と「スペイン」の文字を大きく表現し、会場の参加者は思わず笑みをこぼしていました。
リアルとオンラインが一体となってたくさんの意見を共有し、2枚のポスターが完成しました。ハイブリッド型という新しい形での開催でしたが、参加者からは「とてもスムーズな進行だった」「2時間半があっという間に感じた」との声がありました。オンラインの参加者からは「オンラインでありながら積極的に参加できたと感じました」「チャットだと気負わずにアイディアを出すことができました」と、ハイブリッド型の利点を感じる感想が上がりました。
これまでは東北や九州など全国各地でセミナーを行う関係で、関東近郊に訪れる機会があまりありませんでした。今回初めて埼玉での開催となり、近くて遠いと言いますが、関東近郊での開催はとても大事だと思いました。
川越は町おこしが盛んなので、行政や町おこしの団体の取り組みを目にする機会が多いかと思います。自分でもやりたい、私ならこうするのにという思いがあったように感じました。皆さんから良いアイディアが出やすく、ありがたかったです。
川越は良い意味でローカルです。例え関東近郊であっても、それぞれに地域の色があるのだと実感しました。僕は東京都に住んでいますが、同じ様に地元をリシンクしなければいけないと改めて感じました。
川越の皆さんのクリエイティブ能力の高さに驚きました。
事前のすり合わせのタイミングでは、本当に皆さんから意見を出してもらえるのか心配だったのですが、非常に多くの意見をいただくことができ、とても面白かったです。これがクリエイティブに繋がれば、もっと川越を表現する幅が広がると思います。
若い方の参加も多かったので、これからがとても楽しみです。
川越セミナーは、今年一番規模の大きい会場での開催となりました。オフラインは19人の方に参加いただきましたが、こんなに多くの方に来ていただけたのも今年は川越が初めてです。
これだけの人数になるのは久しぶりだったので少し緊張もありましたが、皆さんに楽しんでいただくことができ、とても良いセミナーになりました。
この様な時世の中で実際に足を運んでいただき、とてもありがたく思っています。
まずもって本セミナーが無事に終了したこと。関係者の皆さまへ感謝申し上げます。
セミナーを通して『物事の捉え方・視点のあり方』を改めて考えることができました。
これらは、私たちが、今、取り組んでいる地域に根差した活動を実践していくにあたり非常に有意義なセミナーであったと認識しています。
川越の素晴らしさを地域の人たちと共にRethinkしていきながら伝える先を目指していきたいと思います。
セミナーで学んだことを生かし、Rethink Creator PROJECTが用意した「Rethink Creative Contest」に挑戦してみませんか。地域の魅力をRethinkし、ご自身で撮影した写真に、考案したキャッチコピーを配置してご応募ください。セミナーを受講していない方の参加も可能です。
「Rethink PROJECT賞(最優秀賞)」1作品に賞金50万円、「優秀賞」最大30作品にそれぞれ賞金3万円が贈られます。
「Rethink Creator PROJECT」のウェブサイトでは、作品作りの参考になるデザイン講座の動画が無料で公開されていますので、ぜひご視聴ください。