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川越スカラ座で映画「野火」上映開始 塚本晋也監督トークショーも

講演会後、サインに応じる塚本監督

講演会後、サインに応じる塚本監督

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 川越の映画館「スカラ座」(川越市元町1)で2月1日、映画「野火」の上映が始まり、上映初日に塚本晋也監督による講演会が開かれた。

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 塚本監督は製作、脚本、監督、撮影、照明、美術、編集など全てに関与し作品を作り上げ、国内海外問わず数多くの賞を受賞している。主な作品に「鉄男」「六月の蛇」「KOTOKO」などがあり、「KOTOKO」は第68回ベネチア国際映画祭で最優秀作品賞を受賞。「野火」は大岡昇平の同名小説を映画化したもの。第二次世界大戦末期のフィリピン戦線で結核を患った田村一等兵が部隊を追放され野戦病院へ送られるところから物語は始まる。戦場という空間の中で極限状態へ追い込まれた人間の狂気を描いている。

 同作の制作を意識したのは20年前だったという。資金面での工面ができず何度も頓挫したが、戦争を知る世代が減っていくにつれて日本に漂う戦争を容認する風潮に警鐘を鳴らすため製作に踏み切った。「戦争という重要なテーマなので、最初は多くの方に知ってもらえるように大規模な作品にする予定だった。出資を募ったが資金が集まらなかった中、製作を決定してからは『自撮り映画』ででも作ろうと思い突き進んだ」と話す。

 「戦争映画というと死をある意味美学的に描くものも多いが、実際はそうではないということを知ってもらいたかった。ショッキングな表現もあるが、それは戦場のありのままを描写しているだけ」と塚本監督。「この作品には社会的な思想などは入れていない。戦争についての知識を学んだり、調べたりするのは後でいいので、戦争を知らない若い世代の人たちにまずは『野火』を見て戦争を疑似体験してもらいたい」とも。

 質疑応答の時間では観客からの「戦争や平和について若い世代の人と話すきっかけはどのようにつくればいいか」との問いに対し、「ぜひ『野火』を見ることを勧めてほしい。勉強として戦争について学ぼうとしてしまうと構えてしまうが、まずはこの映画を見て戦争を疑似体験し、ショックを受けてほしい。これをきっかけにしてもらいたい」と答えた。スカラ座についての印象は「シネマコンプレックスにはシネマコンプレックスなりの良さがあると思うが、こうした歴史ある映画館は建物や佇(たたず)まい自体が一つの魅力になっていると思う」と話した。講演会終了後、サイン会と写真撮影会に移り、来場客のほとんどが列を作った。

 20歳以下は映画料金を割引する。20歳以下=1,000円、高校生以下=800円。上映は今月19日まで。

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