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川越の輝く女性特集:第4回 鈴木ゆりさん

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 「川越の輝く女性特集」4回目は、快適暮らしコンサルタントの鈴木ゆりさん。川越を拠点にセミナー、パーソナルサポート、ルームツアーなどで全国を回り、片付けや収納をはじめとする家事全般のサポートを行っている。その人に合った「快適」を提案し、最短最速で理想の暮らしに近づけるスペシャリストだ。

現在のビジネスを始めたきっかけ

 「今はこんな風に人に教える立場にいるが、数年前まで片付けもできず、家事もめんどくさがりで、買い物が大好きな真逆の人生だった」と意外な過去を話す鈴木さん。「家族で毎日探し物をしている日々で、流行の物はすぐに買い、『ほかの人も持っているから』という理由でまた買う。ギュウギュウの満員電車のようなところに買った物を詰め込んで、今思えば物に対してとてもかわいそうなことをしていた」と、さらに過去を振り返る。

 そんな鈴木さんの転機となったのはマイホームを購入したこと。「こんな人生にピリオドを」と300キロ以上の物を手放したことが最初のきっかけになったという。「不便になるかと心配していたが、必要な物はあるので問題はなく、物が少ないので、掃除がしやすい。そうすると夫がよく家事を手伝ってくれるようになった」と良いこと尽くめの変化が起きた。「自分の考えに自信が無かったり、周りの目を気にしてばかりだったりしたが、物を通して心の中も整理することができ、自分の考えや気持ちを認めてあげられるようになった」と自身の心境にも変化が現れたという。

 その後、遊びに来た友人知人に事の経緯を話し、「絶対に広めたほうがいい」と言われたことと、加えて夫から「やるからにはプロとして活動してみては?」と勧められたことが第2のきっかけとなり、現在の「整理収納アドバイザー」としての活動に至る。今は天職だと思って活動しているという。

『快適とは何か』をその人に合わせて考える

 最近「雑誌やユーチューブを見てやってみたけど、うまくできない」という悩みをよく聞くという。「持っているモノの種類や量、部屋の大きさ、ライフスタイルも千差万別なので、紹介されている通りに実践してもうまくできないことはある意味当たり前」と鈴木さん。「『快適』というのも、お寺みたいにモノが無くてすっきりした家が快適なのか、ある程度片付いていれば、よく使うモノは上に出ていた方が快適なのかは人それぞれ」だという。「それぞれが考える理想の『快適』に照準を合わせてマンツーマンでアドバイスしていくことが得意」と自信を見せる。「『何年もずっと散らかっていたお家が、たった3カ月で家じゅう丸ごとスッキリした』などの声を頂くことが多く、私自身とても励みになる」と言う。

川越に対する思い

 ーー川越を拠点に活躍する鈴木さん。川越への思いを聞いてみた。

 「川越は地元愛の強い人が多い」と話す鈴木さん。「私の両親はどちらも川越生まれ。親戚も川越に住んでいて、夫も川越生まれ、川越育ち。家族みんなで生粋の『かわごえもん』。祖父母から、昔の川越の暮らしをたくさん聞いて育ち、みんな自分の街を誇りに思っている」とも。「子どもの時は夏休みに帰省する友達がうらやましかった。今は、生まれたところに根付いて暮らすということも幸せだと思えるようになった」という。

自分の活動を通して、伝えたいこと、広めたいこと

(1)家庭版6S活動

 職場環境を整えるための5つの要素「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のことを「5S活動」というが、鈴木さんは、そこに「収納」を加えて家庭版の「6S活動」と呼んでいる。その活動を家庭内の家族みんなが実践できるよう広めていきたいという。「家事を担っているような人たちは、今までなかなか社会的に評価されなかったし、効率をとことん追求するという概念があまり無かったのでは」と鈴木さん。「家事が早く終われば自由時間も増えるし、生み出した新たな時間でやりたかった勉強や、やりたくても我慢していた趣味や仕事なども始めることができる。働き方改革にも通じる考え方」と話す。

 「子どものころ、夕食後に食器洗いもせずにキッチンの片隅にぐったり座り込んでいた母の姿を思い出すことがある。家族で家事が分担しやすい仕組みになれば、誰かが病気になったり仕事が忙しかったりしても、みんなで快適な空間を維持することができるようになる」と鈴木さん。『快適』な暮らしを維持するということは、想像以上に負荷の大きい仕事。それを誰か一人に押し付けるのではなく、家族が助け合い、補い合い、それぞれが意識して6S活動ができるのが理想だという。「コロナ禍で制限も多く、ストレスがたまる毎日だが、だからこそ人生で一番長く過ごす家を、家族みんなが一番幸せな場所にしていってほしい」と呼び掛ける。

(2)整理収納はSDGsにつながる!

 SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。国連で採択された15年間で達成するために掲げた17の目標のこと。「その中に『作る責任・使う責任』という目標があるが、私も300キロの物を捨てたという苦い経験があるので、買い物が慎重になった。質の高いものや作り手の思いが感じられる物を買って大切に使うようになれたのも、ストックし過ぎず、使い切ったら新しいものを買うようになったのも、片付けを通して学んだこと」と話す。無駄買いや衝動買いが減ったのは、サポートを受けた人のサポート後アンケートでも分かる効果だという。

 「キッチンや冷蔵庫の整理をすれば、必要以上に食材を買い込むことが減り、食品ロスを減らすことにもつながる。整理収納というと、不要なものを整理して捨てるということから、すごくもったいないことをしている、と思われがちだが、最終的にはエコにつながると思って活動している」と鈴木さん。「片付けが終わったら、今度は空いた場所にぜひ防災備蓄をしてほしい」と続ける。「快適で、安心で、地球にもやさしい暮らしを、自分の活動を通して影響を与えていきたい」と前を向く。

鈴木ゆりさんの座右の銘

「一勝九敗」
 ユニクロの経営者である柳井正さんの言葉をそのまま自分の座右の銘にしているという鈴木さん。「主婦で起業した身としては背中を押される言葉」だという。「計画や勉強ももちろん大事だが、実行しない限り何も生まれないし、10回新しいことをやれば9回失敗すると思う。人生は一度きりだし、『いつかやろう』と思うと、いつまでたってもできない。新しいことを始めるのに遅いことは決してないと思う」と、失敗を恐れず実行することの大切さについて話す。「主婦や主夫をはじめとする、家の仕事を任されている方にもどんどん頑張ってもらいたい。何かやりたいことがあったとき、やろうと思った瞬間、じゃあその時間を生み出すにはどうすれば良いか、と考えるようになれるはず」とエールを送る。「そのためにも、最短最速で家事や片付けを終わらせて自分のやりたいことにどんどん挑戦できる環境を作ってほしい」とも。

 鈴木さんの活動や教えを家庭の中で自然と学んでいた4歳児の長男が、史上最年少で「整理収納アドバイザー資格(2級)」を取得した。「片付けで悩んでいる世界中の親子にエールを送ることを密かな野望にしている」という鈴木さん。近い将来、世界中で有名な整理収納アドバイザー親子になって活躍しているかもしれない。鈴木さんと小さな整理収納アドバイザーの、世界を股に掛けて活躍する日が待ち遠しい。

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