
埼玉県内の起業家・経営者が意見を交わすイベント「埼玉起業人発掘プロジェクト」が8月20日、「りそなコエドテラス」(川越市幸町)で開催された。
2024年6月に始まった同イベント。考え方や経験事例を知ってもらおうと県内の起業家・経営者が意見交換を行ってきた。第14弾になる今回は「熊谷の起業・共創実現のためのリアル対談」。熊谷の現状と可能性について5人が意見を交わし、集まった30人以上が耳を傾けた。
議論の中心となったテーマの一つが地域資源の活用。「空き家はチャンス」を活動テーマに空き家を購入してリノベーションし、時間貸しのレンタルスペースやシェアキッチンを運営するハクワークスの建築士・白田和裕さんは「『今じゃなくても、私じゃなくても、ここじゃなくても』という街ではなく、選ばれる魅力ある街にしたい」と話した。
町のイベントを通して地域内の関係構築に注力したこれまでの活動を紹介したのは、まちづくりに取り組む星川エリアマネジメントの中島雄平さん。熊谷市が抱える課題を見据えたという地域内で経済と人を循環させる持続可能な事業モデルを新たに示した。
食品卸売業高遠を営む冨岡孝信さんは「熊谷の利点は新幹線の利用で仕事がしやすいとこと。仕事柄、クライアントに熊谷へ来てもらうことも多い、熊谷に来る人に楽しんでもらいたい。地域の特産品や食材を使った商品開発・イベントの必要性を感じている」と話した。
熊谷経済新聞編集長でウェブ制作会社うぇぶ屋の宮迫功次さんは「市内はエリアごとに特色があり、ニュースネタも豊富。新規事業、スタートアップにちょうどいい規模感が利点かもしれない」と話したほか、アドバイザーを務める熊谷市の地域ブランド「晴れまち」を紹介し、農業の盛んな熊谷で農業や食材を活用した特産品・土産を作る新しい取り組みの可能性も示した。
スポーツチーム運営やアパレル、SNS運用などを手がけるLIBERANOVAの杉山大樹さんは「自社だけでは難しい海外への発信や進出を、連携を通じて実現したい」と話し、地域間連携を足がかりに海外展開を目指す構想を明かした。「地域内での盛り上がりを外部に持っていけたら面白い」とも。
「熊谷は資源が豊富でチャンスが多い地域」とイベントを主催した「りそなコエドテラス」館長の森直人さん。「今後も地域の人々が気付きにくいポテンシャルを引き出し、新しいコラボレーションを生み出していきたい」と話す。